ひかりを育てる

2016.05.21 | Daily

 

 

「ひとの気持ちがしりたい」

友人がふと、ぽつりと、言った。

 

それは誰もが一度は思ったことがあるのかもしれない。

家族、友人、仕事仲間、パートナー…

近くても、遠くても、ひとの気持ちをすべて知ることはできない。

 

 

もしひとの気持ちを知ることができたらどうなるのだろう。

 

喜んでもらえそうな贈り物を選ぶこともなく、

今どうしているか想像することもなく、

想いを馳せ手紙を書くこともきっと、ない。

喧嘩もなく、誤解もなく、おせっかいや、不満も不安もない。

なぜなら言葉を交わさなくても、すべて意識の世界で成り立つのだから。

何も語らず、すべての出来事が淡々と進み、完了する。

 

 

なんてつまらない世界。

 

わからないから、悩む。

どうしているのかと気にかける。

風の便りを聞いて、安心する。

あーでもないこーでもないと想像し、心を遣う。

それは見えない、わからないからこそ、遣うたびに輝く。

感情は、わたしたち人間にあたえられた大切なひかりだ。

ひかりは誰の心の中にもある。

 

ひかりを、育てる。

ひかりは遣わないと輝かない。

 

 

「ひとの気持ちがしりたい」

知ることが大切なのではなく、

そう思うこと、その想いがひかりをきらきらと輝かせている。